遺伝的な要素
親御さん、またご親族に歯ならびが悪い方がいらっしゃる場合、お子さまもその遺伝子が受け継がれ同じようになる可能性があります。
乳歯の時期からその兆候が見られたり、男の子が高校生、女の子は中学生になると顕著になってきます。
これはお顔の骨の遺伝による不正咬合(ふせいこうごう)です。親御さんへとのお話合いでわかる比較的わかりやすい原因です。しかしその反対に、現代の子どもたちは「わかりにくい」原因をかかえていることがあります。
環境的な要素
わかりにくい原因とは環境的な要因です。
親御さんご親族にいらっしゃらないのに「なぜこの歯ならびに?」というご相談を受けたとき、私たちはこの可能性を考えなくてはなりません。
では、環境から引き起こる不正咬合とは何なのでしょうか?
幅も深さもあるため、ここでは「身体」「呼吸」「舌」の3つに注目してお話ししたいと思います。
まずは「身体」
きれいな歯ならび。その準備は乳歯が生えていない時期からはじまっており、健全な身体の発達はお口と深く関係しています。このお話は長くなりますので詳しくは院内セミナーや説明健診のさいにお伝えしますが、知っておきたいポイントは「お子さまの成長を見ること」と「筋肉の正しい発達」です。
情報社会になり、育児に関するうれしい内容がある反面、「何歳までに何を」が先行し、お子さまの身体の発達がおいてきぼりのまま様々なことにチャレンジさせ過ぎていることがあります。また私たち親が楽な育児アイテムも増え、一部は健全な筋肉の発達を妨げるものもあるのです。
これらは決して親御さんが悪いというお話ではありません。これも現代社会が自然とそうさせた環境的な要因とも言えます。
「呼吸」
身体が健全に発達できていないとは、理想とする筋力がついていないとも表現できます。ハイハイを十分にしていた赤ちゃんは、正しい背筋を維持するための背筋がきちんと発達します。
ここで試して欲しいことがあります。わざと猫背にしてみてください。その時お口はどうなっているでしょうか?
お口が開いてしまったり、開かない方でも歯は噛み合っていない状態になっていると思います。お口が開いてしまうと、鼻で呼吸するよりもお口で呼吸するほうが楽ではありませんか?
知らず知らずお子さまはお口が開いてしまう状態が身につき、それは歯ならびと関係するあごの骨とお口周りの筋肉の成長にも影響するため、結果として乳歯の歯ならびが悪くなり、伴って永久歯の歯ならびが悪くなってしまうのです。
文章が長くなってしまうため駆け足でお伝えしております。疑問質問、またお子さまの歯ならびで不安があるさいは、ぜひお早めにご相談ください(ご相談は無料です)。
最後は「舌」
身体の成長不全とも言える状況から、お口が開いてしまい、不正咬合になっている。こちらに関係するもう一つの原因。それは「舌の位置」です。
歯ならびは、お口周りの筋肉と舌の筋肉にサンドイッチされ、また歯の並んでいる土台であるあごの骨によって決められています。
度々ですがお口をわざと開けていみてください。舌はどうなっているでしょうか?
下あごに寝そべってしまい、本来の位置を維持することができません。
こちらをお読みくださいました親御さんはすでにお子さまのことでお困りかもしれません。ここでお伝えしたかったのは原因を知ることで対策ができるということです。お子さまの身体や習慣を見守り観察してください。違和感を感じたところが原因かもしれません。またお一人で悩まず、ご家族さま、お友だち、ご近所のおじいちゃんおばあちゃん、そして私たちを大いに利用してください。お子さまの健康をみんなで育みましょう。
子どもの健康サイクルはきれいな歯ならびも育む
身体をつかってよく遊ぶと筋力が上がります。そしてお腹が空くので少し噛み応えのある食事もよく食べ健全なあごが育ち、さらによく寝るため身体と脳がより発達します。
「昔の人は元気だな〜」と感じたことはありませんか? これは上記のサイクルが自然とおこなわれ、子どもの時期にしかできない身体の健康ベースをきちんと育んできたからです。
子どもは身体を動かし遊ぶことに前向きです。長袖長ズボンでケガに配慮してご近所の公園で思いっきり遊ばせてください。
余談ですが私は始め、ケガや公園の遊具からおっこちないか心配でした。しかし子どもはその遊びの中で危機管理能力も育んでいることに気づき、今ではそのあいだ読書ができるようになりました☆ 子どもの楽しいと私たち親の楽しいの両立を目指したいですね。
前歯が反対に咬んでいる「反対咬合」
反対咬合は遺伝または乳歯が生えてくる過程でおこってしまった場合にわかれます。いずれの場合も当院は早期改善をご提案します。
奥歯が反対に咬んでいる「交叉咬合」
交叉咬合(こうさこうごう)はあごが曲がって成長してしまう恐れがあります。早めに改善したい症状です。
前歯が咬み合わない「開咬」
開咬(かいこう)は習慣的な指しゃぶりや、舌の動きによっておこります。指しゃぶりはメンタルとも関係するため慎重に改善し、舌が原因の場合はトレーニングや装置を使用します。
上の前歯で下の前歯が見えない「過蓋咬合」
過蓋咬合(かがいこうごう)は永久歯への生えかわりを迎えると自然と治ることもありますが、前歯にスペースがない場合は永久歯の凸凹歯ならびの原因です。
前歯にスペースがない
見た目はきれいな歯ならびですが生えかわりがはじまる5歳頃までに前歯がすきっ歯になっていないと多くの場合凸凹歯ならびになってしまいます。早い時期から管理改善をしたい症状です。
生えかわりの時期は少しでも違和感があったり、
凸凹歯ならび、前歯の前後的な不正咬合など、
いずれの場合も早期の見守りと改善が重要です。
トレーニング装置
乳歯の時期は矯正装置を使いたくても使えないことがあります。まずは予防成長管理を通じて、私たちとの信頼関係をつくり、当院が楽しくご自身にとって前向きな場所であることをご理解いただくことからはじめています。不正咬合になっている原因を見つるためにも早い時期から親御さんと一緒に見守らせてください。
矯正装置を使用する場合は、取り外しができるマウスピースの様な装置です(歯列矯正用咬合誘導装置)。寝ている間や、決められた時間使用していただき、症状を改善したり、歯と歯の間に隙間のある健全な乳歯の歯ならびを育み、永久歯へ生えかわる準備をする治療です。
取り外しができる装置や1つ1つの歯につけるブラケット装置
生えかわりの時期はお子さまの成長をサポートし、歯の並ぶ土台である「あご」を本来のかたちに導くことができる重要な時期です。少しでも不安があるさいはお早めにご相談にいらしてください。
矯正装置は成長をサポートするための取り外せる矯正装置を使用します。使用時間はできる限り長くお口に入れておいて欲しいものや、決められた時間使用するものなど、症状によって様々あります。また積極的に歯を動かす場合は1つ1つの歯につけるブラケット装置を使用します。思春期を迎えられたお子さまのお気持ちを大切にするために、目立ちにくい透明なブラケットをご用意しております。
費用:無料 時間:30分前後
子どもの時期は成長を利用して正しい方向へ導ける貴重な時期です。どうかお気軽にご相談にいらしてください。
費用:¥28,000 時間:各30分前後
詳細な治療計画を立案するために精密検査をおこないます。歯型やお顔の写真、レントゲン等をとらせていただき歯ならびと顎骨の分析をさせていただき、後日、治療計画についてご説明いたします。
費用:無料 時間:30分前後
矯正を開始する前にむし歯のリスク検査をおこないます。リスクが高い場合はお口の状態に合わせた予防プログラムをお作りしますので日頃のセルフケアで実施いただきます。
費用:子どもの歯科矯正費 > 時間:60分前後
取り外しのできる矯正装置やブラケット装置の装着、ご説明をいたします。
費用:¥5,000 時間:毎回30分前後
あごの成長や歯の動きに合わせて3〜5週間に1回来院いただき、装置の調整や作製、治療記録をとらせていただきます。
費用:¥3,000 時間:毎回30分前後
歯を動かす矯正治療が終わりましたら、動かした歯を安定させるための保定装置を使用します。3ヶ月〜1年に1回来院いただき、装置の調整とクリーニング、治療記録をとらせていただきます。
費用:¥1,000 時間:20分前後
きれいな歯ならびはお子さまの長所です。高校生になるとお子さまはその価値に気付かれ自ら守りたいという心が芽生えます。これはご自身の健康を自ら守るという親御さんと一緒に目指したゴールです。
当院ではご要望に合わせて、矯正治療後もお口の健康管理をいたします。年に1回、受診いただいているお子さまは経過管理をすることができるため、食生活やライフスタイルの変化などで歯ならびに影響が出てきた時も早期に発見することができます。ご利用ください。